市販薬が効かなくなった頭痛は受診した方がいい?脳神経内科専門医が受診の目安を解説
頭痛
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「いつもは市販の頭痛薬で治っていたのに、最近は効きにくい」
「薬を飲んでも頭痛が残るようになった」
「以前より薬を飲む回数が増えてきた」
このような変化がある場合、頭痛そのものが変化している、あるいは治療を見直した方がよいサインかもしれません。
すぐに救急受診が必要なケースばかりではありませんが、頭痛の頻度や強さ、伴う症状によっては早めの受診が必要なこともあります。
今回は、市販薬が効きにくくなる原因と、受診した方がよいタイミングについて、脳神経内科専門医の立場から解説します。
市販薬が効きにくくなるのはなぜ?
頭痛薬が効きにくくなる理由は一つではありません。
もともとの頭痛が片頭痛なのか、緊張型頭痛なのか、あるいは複数の頭痛が重なっているのかによっても、適した治療は異なります。
また、以前と比べて頭痛の頻度や強さ、痛み方が変化している場合には、頭痛を一度見直すことが大切です。
1.頭痛の頻度や強さが変化している
もともと片頭痛がある方では、毎回まったく同じ強さで頭痛が起こるわけではありません。
睡眠不足、疲労、ストレス、気圧の変化、生理など、さまざまな誘因によって頭痛が強くなることがあります。
女性では、更年期も片頭痛が不安定になりやすい時期の一つです。(▶️関連記事はこちら)
更年期、特に閉経前後の「更年期移行期」では、女性ホルモンであるエストロゲンの変動が大きくなります。こうしたホルモン変動に伴って、これまで落ち着いていた片頭痛の回数が増えたり、痛みが強くなったりすることがあります。
近年のレビューでも、更年期移行期にはエストロゲンなどのホルモン変動により、片頭痛の頻度や予測しにくさが増すことがあると報告されています。
一方で、閉経後にホルモン変動が少なくなると、片頭痛が軽くなる方もいます。
そのため、
40〜50代になって頭痛が増えた
生理が不規則になるのと同時に片頭痛が悪化した
以前は市販薬で治まっていたのに効きにくくなった
という場合には、更年期に伴う変化が関係している可能性もあります。
ただし、「更年期だから」とすべてを決めつけることはできません。
これまでと明らかに違う頭痛や、新しく出現した頭痛の場合には、必要に応じてほかの病気による頭痛を除外することも大切です。
また片頭痛では、頭痛がかなり強くなってから薬を服用すると、十分な効果が得られないこともあります。
2.頭痛のタイプに治療が合っていないことがある
「市販薬が効かなくなった=もう効く薬がない」ということではありません。
例えば片頭痛であれば、市販の鎮痛薬だけでは十分な効果が得られず、トリプタン製剤やラスミジタン、ゲパントなどの片頭痛に特化した治療薬が適していることがあります。 (新しい片頭痛治療薬ナルティーク、アクイプタについて記事もそれぞれご参照ください)
日本の「頭痛の診療ガイドライン2021」でも、片頭痛の程度や症状に応じて適切な急性期治療を選択することが推奨されています。
さらに、片頭痛の頻度が多い場合には、
片頭痛の予防内服薬
CGRP関連抗体薬などの予防注射
といった予防治療を検討することもあります。
市販薬を次々と変えながら我慢し続けるよりも、まず「どのような頭痛なのか」を確認し、それに合った治療を選ぶことが大切です。
3.「片頭痛+緊張型頭痛」ということもあります
実際の診療では、「片頭痛だけ」「緊張型頭痛だけ」とは限りません。
例えば、
「普段は肩や首がこって頭が締め付けられるように痛いけれど、ときどきズキズキと強くなって吐き気もする」
というように、片頭痛と緊張型頭痛の両方の特徴を持つ方もいます。
一般に「混合性頭痛」などと呼ばれることもありますが、現在の国際的な頭痛分類では、それぞれの頭痛の特徴を確認して診断していきます。
頭痛によって適した治療が異なるため、「とりあえず毎回同じ市販薬を飲む」だけでは十分にコントロールできないことがあります。
4.頭痛薬を飲む日が増えている場合は要注意
特に注意したいのが、薬剤の使用過多による頭痛(Medication Overuse Headache:MOH)です。
頭痛が起こる
↓
頭痛薬を飲む
↓
また頭痛が起こる
↓
さらに頭痛薬を飲む
という状態を繰り返すうちに、頭痛が慢性化してしまうことがあります。
国際的な診断基準では、薬剤の種類によって基準は異なりますが、トリプタンや複合鎮痛薬などを月10日以上、アセトアミノフェンやNSAIDsなどを月15日以上使用する状態が3か月以上続く場合などに、薬剤使用過多頭痛を考えます。
つまり、
「薬が効かないから、もっと飲もう」
と自己判断で使用回数を増やすことが、かえって頭痛を悪化させてしまう場合があります。
「最近、頭痛薬を飲む日が増えてきた」と感じた時点で、一度医療機関に相談することをおすすめします。
市販薬が効かなくなったら、すぐ受診した方がいい?
「いつもの頭痛とほぼ同じだけれど、最近少し薬が効きにくくなった」という場合、それだけで直ちに救急受診が必要とは限りません。
ただし、次のような場合には、脳神経内科や頭痛外来で一度相談することをおすすめします。
市販薬を飲んでも十分に改善しないことが増えた
頭痛の回数が増えてきた
頭痛薬を飲む日が増えてきた
以前より頭痛が強くなってきた
頭痛のため仕事や学校、家事に支障が出る
以前とは頭痛の場所や痛み方が変わってきた
更年期に入ってから頭痛が明らかに増えた
市販薬を何種類も試している
どの薬をどのタイミングで使えばよいのかわからない
このような場合は、「緊急」という意味ではなくても、今後の頭痛を悪化させないために治療を見直した方がよいタイミングと考えられます。
一方、このような頭痛は救急受診を検討してください
市販薬が効くかどうかとは別に、くも膜下出血や脳卒中など、緊急性の高い病気による頭痛(二次性頭痛)が隠れていることがあります。
特に、次のような症状がある場合は、市販薬を飲んで様子を見るのではなく、救急外来のある医療機関への受診を検討してください。
突然始まった非常に強い頭痛
数秒〜数分など短時間で急激にピークに達した頭痛
今まで経験したことのないような強い頭痛
頭痛とともに、手足の麻痺やしびれが出た
ろれつが回らない、言葉が出にくい
意識がもうろうとする、反応がおかしい
急に物が二重に見える、見え方がおかしくなった
けいれんを伴う
発熱を伴い、強い頭痛や意識状態の変化がある
繰り返し嘔吐し、状態が悪い
このような症状では、くも膜下出血、脳出血・脳梗塞、髄膜炎などを除外するため、緊急で頭部CTやMRIなどの画像検査や専門的な評価が必要になる場合があります。
特に、突然の激しい頭痛や、麻痺・言葉の障害・意識障害などを伴う場合には、通常の外来予約を待たず、救急要請(119番)も含めて対応してください。
一方、「日ごとに頭痛が強くなっている」「これまでとは痛み方が変わった」といった場合も二次性頭痛のサインとなることがあります。緊急性は症状によって異なりますが、自己判断で市販薬だけを続けず、早めに医療機関へ相談してください。
「市販薬が効かなくなった」は、治療を見直すタイミング
頭痛は、市販薬で対処しながら何年も我慢している方が少なくありません。
しかし、
「以前は効いていた市販薬が最近効きにくい」
「頭痛薬を飲む日が増えてきた」
「以前より頭痛がつらくなってきた」
という変化が出てきた場合には、一度頭痛の診断と治療を見直してみてもよいタイミングです。
女性の場合は、生理や更年期など、女性ホルモンの変化によって片頭痛が悪化する時期があることも知られています。
一方で、頭痛の変化をすべて年齢や更年期のせいにせず、これまでと違う症状がある場合には別の原因がないか確認することも重要です。
脳神経内科では、頭痛の発症の仕方、痛む場所、痛み方、持続時間、随伴症状、薬の使用状況などを確認し、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛なのか、別の病気による二次性頭痛を考える必要があるのかを評価します。
必要に応じて、片頭痛に適した治療薬や予防治療についてもご提案します。
「市販薬が効かなくなってきたけれど、受診するほどなのかわからない」という段階でも、お困りであれば一度ご相談ください。
参考文献・参考資料
日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修『頭痛の診療ガイドライン2021』
National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Headaches in over 12s: diagnosis and management(CG150)
Ornello R, et al. Acute and Preventive Management of Migraine during Menstruation and Menopause. J Clin Med. 2021.
Friedman Korn T, Bernstein C. Migraine across the menopausal transition and beyond: A narrative review. Headache. 2026;66(6):1390-1404. doi:10.1111/head.70071.
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