リベ大クリニック名古屋院 -内科・脳神経内科・循環器内科-

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CGRP注射と飲み薬は何が違う?抗体医薬と「ゲパント」の違いを解説

頭痛

公開日

2026.8.28

更新日

2026.8.28

片頭痛の治療では近年、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を標的とした治療薬が大きく進歩しています。

これまで日本では「CGRP治療」というと、エムガルティ、アジョビ、アイモビーグなどの注射薬が中心でした。

一方、現在はCGRPの働きを抑える飲み薬(ゲパント)も使用できるようになり、

「注射と飲み薬は何が違うの?」
「どちらもCGRPを抑えるなら、同じ薬ではないの?」
「抗体医薬というのはどういう意味?」

と疑問に思われる方も多いと思います。

結論からいうと、どちらも片頭痛に深く関係するCGRPの働きを抑える薬ですが、薬の作り方や体内での働き方、投与方法などが大きく異なります。

そもそもCGRPとは?

CGRP(Calcitonin Gene-Related Peptide)は、神経から放出される物質のひとつです。

片頭痛発作では、三叉神経を中心とする神経系が活性化し、CGRPが放出されることで、痛みの情報伝達などに関与すると考えられています。

そこで、

「CGRPそのもの」あるいは「CGRPが結合する受容体」をブロックする

という考え方から開発されたのが、CGRP関連治療薬です。

従来の片頭痛予防薬には、もともと血圧やてんかんなど別の疾患に使われていた薬を片頭痛予防に応用したものも多くあります。

これに対してCGRP関連薬は、片頭痛の病態に関係する仕組みを直接標的として開発された治療薬という特徴があります。

American Headache Societyも2024年のポジションステートメントで、CGRPを標的とする抗体医薬とゲパントについて、片頭痛予防の第一選択肢として検討できるとしています。

CGRP注射は「抗体医薬」です

日本で使用されている代表的なCGRP関連の注射薬には、

  • エムガルティ(ガルカネズマブ)

  • アジョビ(フレマネズマブ)

  • アイモビーグ(エレヌマブ)

があります。

これらはいずれもモノクローナル抗体という技術を使って作られた「抗体医薬」です。

ただし、すべてが同じ場所を標的としているわけではありません。

エムガルティとアジョビはCGRPそのものに結合して働きを抑えます。

一方、アイモビーグはCGRP受容体に結合し、CGRPが受容体に作用するのを防ぎます。

つまり、

CGRPを捕まえる薬と、CGRPの受け皿をふさぐ薬

という違いがあります。

いずれも最終的にはCGRPによる片頭痛のシグナルを抑えることを目的としています。

飲み薬のCGRP治療薬は「抗体医薬」ではありません

一方、CGRPを標的とする飲み薬として登場したのが、ゲパント(gepant)と呼ばれる薬です。

日本では、

ナルティークOD錠(リメゲパント)
アクイプタ錠(アトゲパント)

などが承認されています。

リメゲパントは2025年9月に日本で承認され、片頭痛発作が起きたときの急性期治療と、片頭痛発作の発症抑制の両方に使用できます。

予防目的では隔日投与です。

アトゲパントは片頭痛発作の発症抑制を目的とした薬で、1日1回内服する予防薬です。

これらは抗体ではなく、低分子化合物という種類の薬です。

CGRP受容体に結合して、CGRPからの信号をブロックします。

CGRP注射と飲み薬の違い

大きな違いを整理すると次のようになります。

CGRP関連抗体薬

ゲパント

薬の種類

抗体医薬

低分子薬

投与方法

皮下注射

内服

主な標的

CGRPまたはCGRP受容体

CGRP受容体

投与間隔

1か月ごとなど

毎日・隔日・発作時など

主な役割

片頭痛の予防

予防、一部は発作時治療にも使用

特徴

長時間作用する

体内から比較的速く消失する

どちらが「強い」「弱い」という単純な関係ではありません。

ライフスタイル、頭痛の頻度、これまでの治療歴、合併症、服薬状況などを考えて選択する薬です。

なぜ抗体医薬は月1回程度でよいの?

抗体医薬の大きな特徴は、体内で分解されるまでの時間が長いことです。

そのため毎日薬を飲む必要がなく、月1回程度の注射で効果を維持できる薬があります。

「毎日の内服を忘れてしまう」
「できるだけ飲み薬を増やしたくない」

という方にはメリットになることがあります。

一方、一度注射するとすぐに体内から薬をなくすことはできません。

注射部位の痛みや反応などがみられることもあります。

ゲパントには「飲み薬ならでは」のメリットがあります

ゲパントは内服薬なので、

「注射に抵抗がある」
「自分で治療を調整しやすい方法がよい」

という方には選択肢となります。

また、リメゲパントのように、発作時の治療と予防の両方に使用できる薬があることも特徴です。

一方で、低分子薬は肝臓などで代謝されるため、ほかの薬との相互作用や腎機能・肝機能などを確認する必要があります。

たとえばアトゲパントでは、重度の腎機能障害や一部の薬剤との併用時には用量調整が必要とされています。

そのため、「飲み薬だから誰でも簡単に使える」というわけではありません。

従来の片頭痛予防薬とは何が違う?

片頭痛の予防には、CGRP関連薬以外にも、

  • ロメリジン

  • プロプラノロール

  • バルプロ酸

  • アミトリプチリン

など、さまざまな薬が使用されています。

これらの薬にも長年の使用実績があり、患者さんによっては十分な効果があります。

一方、CGRP関連薬は片頭痛の病態に関係するCGRP経路を選択的に標的としている点が大きな特徴です。

「従来薬が効かなかったからCGRP治療しかない」ということではなく、現在は治療選択肢が増え、

その方の頭痛の頻度や生活への影響、副作用、希望などを考えながら治療方法を選択する

という考え方になっています。

注射と飲み薬、結局どちらを選べばいい?

これは患者さんによって異なります。

たとえば、

  • 月に何日くらい片頭痛があるのか

  • 仕事や学校、家事への影響はどの程度か

  • 発作時の薬を月に何日使用しているのか

  • 従来の予防薬を使用したことがあるか

  • 毎日の内服が負担ではないか

  • 注射に抵抗があるか

  • ほかに服用している薬があるか

  • 腎臓・肝臓などの合併症がないか

などを確認して選択します。

CGRP関連抗体薬とゲパントはいずれも、CGRPを標的とした「片頭痛に特化した治療」ですが、中身はまったく同じではありません。

「CGRP注射を勧められたけれど注射は苦手」
「毎日飲むより月1回の注射の方がよい」
「予防薬を飲んでいるが頭痛が減らない」
「新しい飲み薬について相談したい」

という場合には、一度脳神経内科・頭痛外来でご相談ください。

頭痛の頻度だけでなく、頭痛によって生活がどの程度妨げられているかを確認しながら、現在の治療を続けるのか、CGRP関連抗体薬やゲパントを検討するのかを一緒に考えていきます。


当院では、日本神経学会神経内科専門医・指導医が頭痛の診療を行っています。

片頭痛、緊張型頭痛、複数の特徴が混在する頭痛などについて、症状や経過を確認しながら必要な検査・治療を検討します。

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