こめかみが痛いのは大丈夫?考えられる原因と受診の目安を神経内科専門医が解説
頭痛
公開日
2026.4.2
更新日
2026.8.8
こめかみの痛みは、片頭痛や緊張型頭痛などでよくみられますが、なかには注意が必要な病気が隠れていることもあります。
「こめかみがズキズキと脈打つように痛む」
「左右どちらか片方だけ、こめかみが痛む」
このような症状で受診される方は少なくありません。
今回は、こめかみの痛みで考えられる主な原因と、受診の目安について解説します。
こめかみは痛みが出やすい場所です
こめかみの周辺には、噛むときに使う側頭筋や側頭動脈などがあり、三叉神経を介して痛みを感じる部位でもあります。
こめかみの痛みは、片頭痛などの頭痛疾患のほか、筋肉や血管、神経などさまざまな原因によって生じることがあります。そのため、「こめかみが痛い」と一言でいっても、背景にある病気はさまざまです。
こめかみの痛みの主な原因
片頭痛
片頭痛では、こめかみを中心にズキズキとした痛みが現れることがあります。日本では人口の約8%が片頭痛を持つと報告されており(※)、決して珍しい病気ではありません。
片側を中心に、ズキズキと拍動するような痛みがみられることが多く、
吐き気を伴う
光や音に敏感になる
体を動かすと痛みが悪化する
といった特徴があります。発作は数時間から数日続くことがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
最近ではCGRP関連薬などの新しい治療薬も登場し、頭痛の予防治療の選択肢が広がっています。
関連コラム:【片頭痛】〜頭痛外来〜
緊張型頭痛
最もよくみられる頭痛の一つです。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、ストレス、首や肩のこりなどが、頭痛のきっかけや悪化要因となることがあります。
頭全体が締め付けられるような痛みが多いですが、こめかみ周辺の重い痛みとして感じることもあります。肩や首のこりを伴うこともあります。
関連コラム:肩こりと頭痛の関係とは?〜実は片頭痛のサインかもしれません〜
三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)<群発頭痛など>
こめかみから目の奥にかけて非常に強い痛みが起こる頭痛のグループです。代表的なものに群発頭痛があります。
片側の激しい頭痛に加えて、
目の充血
涙が出る
鼻水や鼻づまり
といった症状を、痛む側と同じ側に伴うことが特徴です。
関連コラム:群発頭痛とは?
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)—50歳以上では特に注意
50歳以上の方に新しくこめかみの痛みが現れた場合は、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)という病気にも注意が必要です。
頭部を中心とした動脈に炎症が起こる病気で、
・こめかみを中心とする新しい頭痛
・こめかみの血管が腫れる、硬く触れる、押すと痛む
・髪をとかしたり、頭皮に触れたりすると痛む
・食事中に顎が痛くなったり、疲れて噛み続けられなくなったりする(顎跛行〈がくはこう〉)
・発熱、倦怠感、体重減少
・目が見えにくい、物が二重に見える
などの症状を伴うことがあります。
治療が遅れると、視力低下や失明につながることがあるため、早期の診断と治療が重要です。特に、目が見えにくい、かすむ、物が二重に見えるなどの症状がある場合は、早急な受診が必要です。
そのほかの原因
帯状疱疹:皮膚の症状が出る数日前から、片側のこめかみや額にピリピリとした痛みが出ることがあります。
歯ぎしり・食いしばり:側頭筋は噛むときに使う筋肉のため、無意識の食いしばりで「こめかみを押すと痛い」「朝起きるとこめかみが重い」といった症状が出ることがあります。
よくあるご質問
左右どちらか片方だけ痛むのは危険ですか?
片側だけの痛みは片頭痛や群発頭痛でもよくみられ、片側だからといってただちに危険というわけではありません。ただし、いつも同じ側だけ痛む状態が続く場合や、50歳以上で初めて出てきた片側の痛みは、ほかの病気が隠れていないか確認するため、一度の受診をおすすめします。
こめかみを押すと痛いのはなぜですか?
側頭筋のこわばりや、歯ぎしり・食いしばりなどが関係していることがあります。また、50歳以上で新しく頭痛が出た場合や、頭皮の痛み、顎の痛み、見えにくさなどを伴う場合は、巨細胞性動脈炎などの病気にも注意が必要です。
何科を受診すればよいですか?
頭痛の診療は、脳神経内科・脳神経外科・頭痛外来が専門です。当院では脳神経内科に頭痛外来があり、神経内科専門医が診療を行っています。
こめかみの痛みは危険なこともあります
次のような症状がある場合は、脳血管障害や感染症など、緊急性の高い病気による頭痛の可能性があります。
突然発症した激しい頭痛
今まで経験したことのない頭痛
急激に悪化する頭痛
手足のしびれや麻痺、言葉の出にくさを伴う
意識障害や強い吐き気を伴う
発熱や首の硬さを伴う
このような場合は、当院の通常診療を待たず、速やかに救急医療機関を受診してください。
当院で相談いただける頭痛
当院では主に、
繰り返す頭痛や長く続く頭痛(片頭痛・緊張型頭痛などの一次性頭痛)
片頭痛などの予防治療
市販の鎮痛薬が効きにくくなってきた、服用回数が増えてきたといった頭痛の相談
などの診療を行っています。
「頭痛が続いている」
「頭痛の頻度が増えてきた」
「市販薬を飲む回数が増えている」
このような場合は、一度ご相談ください。
受診の際には、頭痛が始まった時期、痛む場所、痛みの続く時間、鎮痛薬を使用した日数や回数などをメモしてお持ちいただくと、診療がスムーズです。日本頭痛学会の「頭痛ダイアリー」を活用して記録していただくと、診療の参考になります。
※当院に通院中で、頭痛の症状が安定している方には、ご希望に応じてオンライン診療をご案内できる場合があります。初めての方は、まず対面での診察にお越しください。
まとめ
こめかみの痛みは、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛でよくみられますが、まれに巨細胞性動脈炎や脳血管障害など、早めの対応が必要な病気が隠れていることもあります。
突然現れた強い頭痛や、これまでにない頭痛には注意が必要です。一方、繰り返す頭痛や長く続く頭痛についても、適切に診断し治療することで症状の改善が期待できます。
頭痛でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia. 1997;17(1):15-22.PubMed
Headache Classification Committee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition(ICHD-3).ICHD-3
Ponte C, et al. 2022 American College of Rheumatology/EULAR Classification Criteria for Giant Cell Arteritis. Arthritis Rheumatol. 2022.PubMed
ーーーーーー
内科・脳神経内科 【診療時間】
月〜木曜日 9:00〜13:00 14:00〜18:00
土曜日 8:30〜12:30 13:30〜17:30
予約はオンラインまたはお電話承っております。
(オンライン予約がいっぱいの時はお電話にてお問い合わせください)
お知らせ一覧